発達障がい(アスペルガー症候群・ADHA等)の子どもたち・若者たちを学校や医療・地域でいかに支援するのか
講話「孤立させないために」
共同通信社の池谷孝司さんの講話を聞くために全国から学校の関係、医療関係、消防関係の方々が集まり、「未来教育:知の交流会」を横浜みなとみらいで行いました。 池谷先生の講演の後、参加者一人一人の方々が感想を述べました。学校、病院、消防学校等の現場でヒントになることや生かせることがあれば幸いです。 (報告:岩国市立麻里布小学校 長岡) |
ゲストスピーカー |
池谷孝司先生 共同通信社(本社:社会部次長) 1988年共同通信社に入社。松江支局、広島支局、大阪社会部を 経て95年から本社社会部で教育班や東京地検を担当。大阪社会部 次長の後、2009年5月から本社社会部次長・文部科学省キャップ。 |
著書「死刑でいいです」 【疋田桂一郎賞】 2009年夏、25歳の若者の死刑が執行された。 その名は山地悠紀夫。16歳で母親を殺害した男が再び犯した大阪 の姉妹刺殺事件を追い、日本社会のひずみを抉り出すルポルタージュ。 |
【看護関係の方】 スクールソーシャルワーカーの活用が有効であるという話をうかがったが、障がいのある方に支援をする体制作りをしていくことが大切であると感じた。いろんな機関や専門家がチームを作って支援していく必要がある。障がいのある方に気軽に声をかけてあげられるようなところがあるとよいと思う。「自分は生きている意味がない」などと考えておる人を一人でも救ってあげたいと思った。 【小学校教諭】 障がい者の支援について周りの人が考えてあげることが必要であると感じた。障がいについての知識をもっともって障がいのある子どもに接し、支援できるようにしていかなければならないと感じた。 【中学校教諭】 通級指導の担当として、中学校の卒業後の居場所をきちんと作ってあげたいと思った。何らかの形で同窓会的な組織を作っていきたい。「孤立」をどうやって防ぐか、自分の近くでどのようにできるのかを考えていくべきだと感じた。しかし、支援していくうえで壁になるのは教員の人事異動だと思う。できるだけ長いスパンで支援にあたれるようになるとよいと思う。 【教育委員会の方】 この10年で発達障がいについての相談が増えてきた。教育委員会には毎日のように相談が寄せられている。中学生のアスペルガーの子が希望の高校に入りたいと思っても、その高校に支援の体制が整っていないので、入学後が心配である。学校教育の中では特別支援の体制が整いつつあるが、社会の中ではまだまだ不十分だと思う。社会の中で障がいのある方を受け止める体制づくりが必要だと思う。 【病院理学療法士の方】 救命センターでは自殺をしようとした患者が増えている。医療に携わる者として淡々と仕事をしているが、自殺をしている人の背景などを申し送りするなどして、ほかの機関などと連携を取れるようにしていかなければならないと感じた。トラブルを起こす人は、その家庭でもトラブルになっていることが多いように感じる。病院では効率が求められているので、患者さんの話をよく聞く時間が十分に取れない。忙しい中でも何とかがんばりたい。 【消防関係の方】 「家にドロボーがいる」などと言って119番にかけてくるような精神救急の方を受け入れる病院がない状態である。外的な障がいがある場合には救急は動けるが、そのままだと死んでしまうとか、人をきずつけるという心配がない場合には動けない。 「連携から連携へ」と職員によく言っている。119番の現場で引き継ぐ場合には、相手が状況を受け止めやすいように、ギフトのつもりで送るように指示している。 【環境省の方】 障がいのある方はつながっていられる人がいることで被害がなくなっている。障がいがある人がいるということを周りの人が受け止めていく必要がある。 【高校の教諭】 神戸の定時制高校に勤務しているときに、障がいのある生徒がやってきたときに障がい者手帳の手続きや生活保護の手続きも行った。定時制高校には勤続20年〜30年という先生もいる。そういう先生がいるからやっていける。ハローワークと連携し、障がいのある子に対する就職支援も行っている。正直よくここまでやれると思うこともある。いまや夜間高校が統廃合になる場合が多い。夜間高校に勤務する先生の居場所も無くなりつつある。無駄も多いかもしれないが何とか、夜間高校を残してもらいたいと思う。 【看護関係の方】 病院と学校はよく似ている。看護のマネジメントを行っているが、医療事故を繰り返しやってしまう看護師がいる。そういう人にふさわしいサポートを考えていきたいと思った。 【小学校教頭】 現在は支援が必要な「親」もいる。そういう親への対処法を考えていく必要がある。 |